作業の質

如何なる場合も顧客は”人や機械が行った作業”の対価として”報酬”を支払います。

“仕事”に対して支払うわけではありません。”仕事”は消費者からすると”視ることも実感することもできない特殊なもの”です。裏方のことなので、消費者には見えず感じることもできないため”消費者(特にエンドユーザー)”が対価を支払うための評価対象にはなり得ません。

簡単に言えば、布の質が良くても”雑な作業によって作られたあちこちの糸が解れたダボタボのスーツ”と布の質はあまり良くなくても”しっかりとした採寸、縫い方で作られたスーツ”では後者が選ばれる可能性が高くなるということです。

ですから、”仕事の質”というものをいくら昇化させても顧客から選ばれることはないのです。顧客の5感に訴えかけることができる”作業の質”を上げることができなければ、お金を稼ぐことはできません。

何だか哲学のようですが、とても単純な話です。例えば貴方は先週どのような物やサービスに対して対価を払いましたか?

食品や書籍、ゲーム機、インテリアや服飾品、お子様やパートナーへのプレゼント、テーマパークへの入場料や外食にかかった費用等があれば思い返してください。

なぜ、貴方はそれらに対価を払う気になりましたか?

品物やサービスの概要と先方が提示している対価を見比べた時、貴方にとってそれが”対価を支払ってでも手に入れたい”ものと判断できたからです。

例えば”食品”は牧場を営む方や農家の方が毎日手入れをして育てる”作業”をして出来上がっています。

加工食品であれば、工場で原材料を加工する”作業”をして出来上がっています。

服飾品はデザイナーがデザインを考える”仕事”をして、書く”作業”をして、布や金属、ダイヤモンド等を工場で加工する”作業”をして出来上がっています。

飛行機での移動は飛行機を用意してもらい、尚且つ運転してもらう”作業”に対してお金を払ったはずです。

ここでセールスマンへ問題があります。

もし、同じ値段で下記3種類の品物・サービスがあったとするならば、どれを選びますか?

A.品質は良いが、販売員の態度が悪いし、知識と経験が不足しているため顧客の質問には答えることができない。アフターフォローに不安を感じる。

B.品質は普通より少し良いかなという程度だが、販売員がとてもしっかりしていて感じが良く、よく勉強しているため、顧客の質問に即答できる。アフターフォローもとても期待できる。

C.品質は最高で安価のようだが、販売員がいない。問い合わせ先は海外の会社が記載されているが電話は繋がらないし、販売元が怪しい。メールも帰ってこないため、アフターフォローについては全く期待できない。

貴方でしたら、どこから買いますか?

少なくとも、日本国内で一番販売数が多く顧客から信頼されるのは”B”です。私もBから買います。場合によっては1ヶ月待ってでもBで買います。

以上のことから自社の商品・サービスがライバルが扱うものに比べて多少劣っていても、優っていても日本人に売れるかどうかは別の話です。

販売員やセールスマンは顧客の話を聞き、商品・サービスを提供するという”作業”を行うことによって利益を得ることができます。

貴方が顧客だったら、Bのように”作業の質が高いセールスマン”とAのように”作業の質が悪いセールスマン”どちらと話がしたいですか?

横柄な方がいいですか?おどおどしている方がいいですか?自社の商品・サービスのことがよく分かっていない方がいいですか?

セールスマンが早く成長するためには”こういうセールスマンになりたい”というイメージが必要です。

そして、そのイメージする理想のセールスマン像というものは絶対的に”作業の質が高い”はずです。

“トップセールス”は社外において顧客から一番支持を得ている方が手にできる称号ですが、社内で一番好かれているかと問われれば大概は”NO”です。

これは、人格が優れている=”トップセールス”ではないということを証明しています。

“トップセールス”になるために必要な能力は人格でも学歴でもなく、”作業の質が一番高い”というだけのことです。

では、セールスマンの”作業の質”はどのように鍛えればいいのでしょうか?次はそのトレーニングの前にご留意いただきたい心得をご案内致します。