営業マンが感じる罪悪感 | 自社商品よりも他社製品が優れている時の考え方

営業活動(セールス)をしていると罪悪感を感じるという方がいます。お客さまを騙している気分になるという方が一定数いらっしゃいます。


なぜ罪悪感を感じるのでしょうか?

理由を伺うと、『自分達の売上成績のためにお客様を騙しているように感じているから』、『自分が売っているものがお客さまの役に立つものだとは思えないから』、『自社の製品より同業他社の製品のほうが優れているのに、自社の製品を買ってもらうのが申し訳ない』といったことが挙げられました。

ここでは営業マンが感じる”罪悪感の緩和方法”について記述していきます。

まず、上記のような理由で罪悪感を感じている方に伝えたいことは”仕事とはもっと単純なもの”だということです。お客さまの立場に立つことは大切なことですが、如何なることも考えすぎは良くありません。

『お客さまのためを突き詰めていったらトップセールスになれました』…このような言葉を耳にしたことはありますが、それはあくまでも建前であって世の中には加減というものがあります。

大前提として、営業職とは取り扱っている商品、サービスを必要としているお客さまにご案内し提供し、お客さまが抱えている問題を解決すること自体に存在意義があるわけで、その時に”世界で一番優れた解決方法”であったのかどうかなんて、お客さまを含めて誰にも分りませんし、そうである必要もありません。

私も現役の営業マンなので、目の前にいるお客さま、ないし見込客に対して”損をさせてはならない”というお気持ちは痛いほど理解できますが、得か損かを決めるのはお客さまであって、営業マンではありません。

勿論、損はしないに越したことはありませんが、もしもそこを突き詰めていくならば、全ての商談の席に座るのは”24時間365日の間、世界で一番美形で、24時間365日の間、世界で一番安いのに世界で一番高品質な商品ばかりを取り扱っていて、24時間365日の間、世界で一番経験があって話が分かりやすい営業マン”でなくてはなりません。

果たしてそんな完璧超人がいるのでしょうか?

文字にするとわかるように、お客さまに全く損をさせないということはどうやっても不可能なことで、神でもない一般人がそれに取り組もうとすること自体がおかしなことです。

近所のスーパーマーケットで88円(税込)で買えるジュースを165円(税込)で買う人がいるからコンビニエンスストアが多数存在するのです。

同じ品質の商品なのに、なぜ高いお金を払ってまでコンビニエンスストアで買い物をするのでしょうか?彼らは買い物の度に『損をしたな』なんて思っていません。

インタビューでもしてみれば、恐らくは『スーパーマーケットの広い売り場では目当ての商品を探すことが大変。コンビニエンスストアでは売り場が小さいから、目当ての商品がすぐに見つかるし、レジに並ぶ時間が短い。スーパーマーケットと比較して営業時間が長いのも魅力の一つです。』といった回答になるでしょう。

場合によっては『近所にあるスーパーマーケットは店員さんの態度がわるいから』や『このコンビニの店員さんはいつも明るくて、丁寧な対応をしてくれるから』なんて意見も出てくるはずです。

売り場が小さい分、敷地が小さくて良いため、店舗の数だって比較にならない程違います。

例え自社の商品やサービスが他社と比較して劣っていたとしても、今、その会社が存在している以上は必ずどこかにニーズ(お客さま)があるということです。

ということは、仮にあなたが居なかったとしても、お客さまはあなたの会社から商品やサービスを買っているかもしれません。そして、そのお客さまは決して”損をした”なんてことは考えていないのではありませんか?

仕事や作業に取り組むとき、人間は絶対にやらない理由、できない理由を考えてはいけません。

賃金や費用が発生している以上、プロとして徹することが”貢献する”ということであり、そのためには常に『なぜこの仕事が存在するのだろう?』、『この仕事は誰のどんな役に立てるように取り組めるだろう?』と考えなければなりません。

『自社の商品が他社と比較して悪いものだ』、『値段が高いのに品質が悪いものだ』と感じるのであれば、営業担当者である自分はその値段の分だけ愛想良く、スピーディーにお客さまが満足できるような対応を行えば良いのです。

『他社と比較して値段が高いのに品質が悪いから』⇒歯がゆいところかと存じますが、それは已むを得ないことです。

資本主義の時代で値段や品質を含めて供給内容が全世界一律になるなんてことはあり得ない事ですし、本当にそれが売れない理由なのであれば、自らが努力をして世界一の商品・サービスを提供できる会社に入るか起業して世界一の商品・サービスをお客さまへ提供すれば良いだけです。

ただし、自らが抱いた”罪悪感”からその仕事を放棄したいと考えているならば、もしその問題を解決できたとしても今度は別の理由で売れなくなります。

そうしてまた新しい言い訳をして、やらない理由、できない理由を探し続けるだけの迷路に迷い込むことになります。

それからビジネスマンとして、営業マンとして、絶対に忘れてはならないことは、如何なる一流企業でも”トップセールス”でも”ヒット商品”でも”超一流の料理人”であろうとも、国民全員の需要に答えることはできないという事実です。

物事にはキャパシティ(限界)というものがあります。それは誰もが分かっていることです。

1つ質問しますが、あなたが先週買った物は全部世界で1番質が良くて1番安いものでしたか?世界最高。日本最高のコストパフォーマンスの商品ばかりでしたか?

先月に外食で訪れたレストランは地域で一番美味しくて、一番栄養バランスに優れていて、一番良い接客で一番いい立地で、一番メニューが多くて、一番安いと言えますか?

そもそも、消費者はそのような好条件な品ばかりを自分で見つけることができるでしょうか?

一番安くて高品質な作業を提供する生産者は無限に商品やサービスを提供できるでしょうか?

答えは聞くまでもなく、”NO”のはずです。お客さまはあなたの売っている商品やサービスよりも、良いものがあることを全部わかっていて”あなたから今買いたい”と思ったのですから、他社より品質が悪かろうが、値段が高かろうが、売ることに対して営業マンが罪悪感を感じる必要はないのです。

お客さまが今、あなたが売っている商品やサービスを『欲しい』と言ったのであれば、それでいいのではありませんか?

それでも、どうしても罪悪感の抜けない方は、是非【ご相談・お問合せページ】からご相談ください。他でもない、あなたの大切なお客さまをお守りするために、まずはご自身のお悩みを解決するべきです。

罪悪感を感じたまま仕事をしても、お客さまは満足してくれませんし、ビジネスマンとして一流になることはできません。

そのまま自信のない仕事を繰り返していけば、更に作業の品質が下がっていくことは明らかであり、そうなれば今よりもっとお客さまにご迷惑をかけることに繋がっていきます。

何より、自分ができないことに言い訳をするビジネスマンに良い仕事や作業などできるはずがないのです。営業マンである以上、プロであることを自覚し、『世界で一番とは言えませんが、これが私(私たち)が提供できる最高の品です。いかがでしょうか。』と胸を張って言える営業マンにならなくてはなりません。

お客さまだって大人です。私たち営業マンからの提案で仮に損をすることがあっても、それらを全て理解したうえで、それ以上の得ができるのであれば○○さんに任せたい。という考えになります。

ですから、お客さまに全く損をしてもらいたくないというお気持ちは自らのエゴでしかないこと、烏滸がましいといっても良いです。

私たちは営業マンと呼称を変えたところで、神になれるわけではありません。

人間の能力には限界があることを決して忘れてはなりません。

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