100円のペンを1000円で売る方法 | 100円のコーラを1000円で売る方法

いきなり身も蓋もないことを記述しますが、そんなことは不可能です。営業マンはお客さまのために作業をするべきであって、仕事で得た力を騙すような事に使ってはいけません。

そもそも商売とは需要と供給があって成り立っていますから、ペンを買うことに苦労することのない日本では100円のペンを1000円も出して買う必要はないのです。仮に上手い言い回しができるようになったとして、その能力をどうやって使うつもりなのでしょうか?

ただしの例外として面接突破の問答はこちらから→<面接でペンを売ってくださいと言われたら…

『100円のペンを1000円で売ってください。』

この出題は人を試すために作られたものではなく、採用面接等で能力の低い面接官であっても、力のある営業マンを選別することができる質問として使われたり、ビジネスマン同士が自らのプレゼン能力を競って遊ぶためのゲームのようなものでした。よって如何様に進化しようが、営業活動の本質とは似て非なるものと言えます。

ですから、このゲームがいくら上手くなっても、はっきり言って実務的には何の成長もありませんし、営業マン達のトレーニングにすらなりません。ゲームセンターのレーシングゲームで一位を獲っても、現実とは違います。

或いは意地の悪い面接官や指導者が”無理難題を向けられたときにどうするのか?適応力が見たい”という検査を目的に使う問題でもありますが、いずれにしろかなり邪道な部類です。

それから、一部で営業活動のトレーニングを目的として出題する方がいらっしゃいますが、その対象は目に見える物ではなく、情報あるいは自らの時間や作業を提供することで、お客さま役から対価としてお金を支払ってもらえるようになるための練習をするべきですし、例えば就職面接の場にて、一体どの程度のビジネスマンなのか測る目的ならば、そんな意地悪な質問をしなくても他に良い方法があるはずです。

この出題は相当下らないものですが、とても有名です。

沢山の方々がそれそれ好き勝手に解釈し、いつの間にか間違って世間に定着してしまった結果、数多くの回答者が現れました。
私が知る限りでは大体の回答は下記4つのタイプに分けられます。

①ペンに付加価値(自分なりのサービスやブランド)を付けて提案する。
②どうしても新しいペンが必要だと思える状況に追い込んでからトークを始める。
③まず相手に対して貸しを作り、借りを返してもらうための手段にする。(または1000円で買った後により高い値段で買い取ることを約束する等。)
④情に訴えかける

断言しますが、これらは営業力や営業マンとしてのプレゼン能力とは大きく趣旨が外れています。

営業マンを採用、教育する立場にいる人間が未だにこんなレベルの低い問答を面白がってやっているから、現代の日本国では”営業マンは詐欺師”だの”わが社の成績が奮わないのは営業部が悪いから”だの”営業マンはとても辛い仕事だからやめておいた方がいい”といった概念が形成されてしまったのです。

景気が低迷して”安くていい品”のみが評価され、営業担当者という存在が小さくなってきたのも、全ては時代に合わせて”営業マンのあり方”を進化させてこれなかった先人営業マンや指導者たちの行いが原因です。”売れないものを売る”のではなく、お客さまがその商品やサービスを知ったら”売れるはずのものを売る”のが営業マンの存在意義です。

売り物はペンだけではなく、水や某炭酸飲料等、セールストークに自信のある方がYouTube等でロープレをやっている動画をアップしていますので、もしお時間があればご高覧ください。

私は全部拝見しましたが、全く欲しくなりませんでした。営業マンの目線からいって学べるとしたら唯一、“ハッタリの使い方”でしょう。

…余談ですが、営業マンにとってハッタリ(ブラフ)は必要不可欠なツールの一つです。

ここで敢えてもう一度記述しますが、彼らの回答は全て的外れです。

正解はお客さまから”100円のペンをどんな状況、どんな加工が施してあれば、1000円の価値をもたせることができるのかを聞き出すこと”です。そしてその商品をお客さまへご案内し、最後にお客さまの背中を押すことで完結します。

100円のペンは100円以下で買えるからこそ、価値があるのです。営業職または商売を司るものが、そんな単純なことを履き違えてはいけません。

そもそも、そうやって100円の価値しかないペンを1000円で買ったお客さまを、その家族や知人はどう思うでしょうか?

お客さまが家に帰った後、お客さまの家族や知人はそのお客さまを見て『いいなー。私もその本当は100円で手に入るペンを1000円で買いたい。私にも紹介して。』となりますか?

『その営業マンいいね。親身になってくれて信頼できるね。』となりますか?

セールスを含めて商売で莫大な利益を出し、価値のあるブランドを構築していくためには、お客さまや協力者からの”紹介”や”口コミ”が必要不可欠となります。

そうやってご託を並べられて、売られた側が満足するのは、その商談の一時の感動を受けた時だけで終わりです。

果たしてその後、営業マンや製造・販売会社に対して高い評価をしていただけるでしょうか?新しいお客様を紹介してくれるでしょうか?

一度売ったら、以後お客さまとの繋がりが無くなるような品やサービスであれば、その後は”あなたが売った品”がそのままお客さまにとって”あなたについての全て”になります。

5年後10年後にお客さまやその家族、知人が『あの時はいい買い物をしたな』と思える営業活動ができていなければ、それは”失敗”したことになります。どんなに大きな取引であっても”失敗”です。

そんなことも理解せずに『この100円のペンを1000円で売ってみてください』なんて営業やビジネスの現場からは程遠い様なことを言い出す講師や書籍については、未だ成果を出すことができていない方々が参考にする資料としてはとても危険です。

私たちプロが行うべき営業活動は決してゲームなんかではありません。

全く別次元に存在するものです。

営業マンの質とは、”悪いものをいかにして高く売れるか”ではなく、”お客さまとその家族、知人をいかに満足させることができるか”が基準であって、相手を騙して言い包める力ではありません。営業マンはお客さまの為に作業を行うべきなのです。

詐欺師のように相手を騙して儲けてはいけませんし、お客さまを言いくるめて後に不満が残るような話をしてはいけません。

ただし、一部の例外として就職面接や研修、またはお客さまへの初訪問にて意地悪をする目的ではなく、ただ本当に”あなたがどの程度のビジネスマン”なのか推し量るために、この問いかけをされる場合があります。その際はただのゲームだと考えて、好きなようにご回答を出してください。営業マンとして営業のプロとして本質が分かっていれば答えは出るはずです。

先述したように、この問いかけは何もわかっていない方々が営業マンに”いじわるをする目的”で進化していったものなので、質問で返し”相手の要望や困りごとを解決する提案をする”ことが正解です。

その場で解決までできてしまえば最高ですが、所謂面接官ではそもそもそんな高レベルな話についてこれないでしょう。

とはいえ、私たちのお客さまを含めてこの問いかけには『具体的な問答方法を知りたい』という方が多いので、私の方からいくつか質問をさせていただいたうえで”あなたに合った問答の方法”を個別に作成致します。

一つのパターンを記述したblog記事のご用意もあります⇒【このペンを○○円で私に売ってくださいと言われたら…

個別のご相談こちらから⇒【ご相談・お問合せフォーム】ご連絡ください。

営業活動とは対話が全てです。相手の話も聞かずに”トップセールス”になることはできません。例え相手から無理難題を突きつけられたとしても、焦って一方的に商品の説明をしてはいけません。

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