このペンを私に売ってくださいという面接官 | 100円のペンを高額で売る方法

『このペンを私に売ってください』という面接官からの問いかけに対して、どのように答えたらいいのか?というお問い合わせがとても多いので、記述致します。

面接や顧客先で『このペンを私に売ってください』という問いかけを受けたとき、真っ先に×をつけられるのが、焦って論点がズレた話を広げてしまう方です。よくあるのが、いきなりペンの説明をスタートしたりこのペンを○○円で買ってくれたら私が…と話し始めて不合格になってしまうケースです。

出題者はこの質問が”無理難題”だと分かっているうえで、問いかけを行っていますので、必ずその意図に応える必要があります。これはセールストークと同じで、相手が何の意図をもってその質問をしてきたのかを把握する必要があるのと一緒です。
ただし、『このペンを私に売ってみてください』という問いかけそのものに答えるのではなく、”無理難題を出された時にどのようにして乗り越えるのか”ということを見せなければいけません。本当に面接官が1万円や30万円、53万円を支払うはずがないのです。

ですから、『このペンは軽くて…』、『このペンはこんなところが素晴らしくて…』という回答ではいけませんし、ましてやご自身を買ってもらおうと『私を買ってください!』、『私に投資してください!』、『このペンを買ってくれたら別のサービスを付帯します』というように力ずくで突破してほしいのではありません。

なぜ、この面接官はこんな質問をしてきたのだろう?
なぜ、折角のお互いのことを話し合える時間なのに、この面接官は私自身ではなくペンを売らせようとするのだろう?

面接とはセールスと同じように面接官の問いかけに対して、意図を把握することから始まります。

『学生時代は何をしていましたか?』の問いかけに対して、『サッカーをしていました!国体まで行きました。』と応えて欲しいわけではありません。
『わが社への志望動機は?』という問いかけに『御社の社風が…』とか『御社の経営理念が…』と応えて欲しいのではないのです。

家族以外との対話なんて、どこまで行こうが所詮”化かし合い”です。それは面接でも営業、セールスでも同様です。
しかし、だからと言って相手の話も聞かず、相手の意図も捉えず、此方の考え方ばかりを伝えようとしてはなりません。

話が逸れてしまいましたが、『このペンを○○円で私に売ってください』という問いかけに対してやるべきことは3つです。

①絶対に焦らない
②相手の意図を掴み、相手の弱みを指摘する
③解決策を提示する(今回はペンになります)

①の焦らないというのは、とても大切なことです。こちらのblog【100円のペンを1000円で売る方法】にも記述しましたが、『このペンを私に売ってみてください』というものは本当に意地悪な課題です。

何より本当に難しい。売る相手を指定され、売るものは選べないし、商品力が弱いうえにその場では対象物に手を加えることはできない。

はっきり言って、こんなシチュエーションでは年収3000万円を超えるセールスマンにも難しい課題です。

そんな無理難題を押し付けられて 焦ってはならないというのは難しいことですが、 それでも絶対に焦ってはいけません。
残酷ですが、無理難題とはいえ面接の場やセールスといった”化かし合いの場”で簡単に焦ってしまう方は選考から外れて然るべきとなります。

或いは商品力があれば、売り手が滅茶苦茶な説明をしても何とかなる可能性はありますが、今回は売り物が近所で100円で買えるペンですから焦った時点で負けです。

次に②の相手の意図を掴み、弱点を指摘するというところですが、ここは①に比べると重要度が落ちますがそれでも軽視するべき項目ではありません。

”なぜ、こんな問いかけをしてきたのだろうか?”と考えてみてくださいと言いたいところですが、面接という場で『ペンを売ってみて下さい』という課題を与えられた場合、意図ははっきりしています。適応能力が見たいのか、意地悪がしたくなったかのどちらかです。

私なら相手の顔、表情を見ます。真面目な顔、仏頂面、こちらに敵意のない顔だと読み取れば適応能力を見せつければ良い。反対に小ばかにしているような表情やニヤニヤしているのであれば逆に手玉に取ります。

今回はblogの限られたスペースなので、前者の適応能力についてお話します。

この課題は”無理難題に対しての適応能力”を測っているだけなので、初めから”買うor買わない”で面接の合否を決めるつもりはないのです。

相手の意図が分かったところで、まずは質問をします。今回はペンを売らなければならないので、面接官に断ってから、自分の逸る気持ちを落ち着かせプランを練るためにペンをじっくり観察します。

次に面接官へ質問をします。『○○様、近年はデジタル化社会となりましたが、○○様のお仕事は紙とパソコン、スマートフォンですとどちらのほうがご利用頻度が高いですか?』

面接官は相手に話をさせるのが仕事ですから、自分が質問されるとバランスを崩しやすくなります。ましてや、会社組織ではなく、自分自身の仕事のことです。この時点で面接官は少なくとも不快感を感じることはありませんし、話をさせることによって面接官の感情を読み取りやすくなります。

続けて、コンピューターと紙、ペンを使った時のそれぞれにあるメリットデメリットについて話し、同意させてからもっと紙を使うべきであると認識させます。100円のペンであっても5万円のペンであっても、紙が無い限りは使い道が限られるのです。

紙は殆ど使わないと仰るのであれば『私もここ最近はパソコンとスマホばかり使用していますが、仕事だけではなくプライベートでもスマートフォンを使う機会が多いので、やはり眼への影響が気になります。○○様はいかがですか?』となりますし、コンピューターは苦手または殆ど紙ですと仰るのならば、『やはり紙は良いですよね。コンピューターのように電源が無くても使えますし、バグやシステム障害の影響を受けない。なにより気軽に使えて、昔ながらの考え方ではあるかもしれませんが、私も紙とペンが好きです。』と相手を肯定していきます。

平均寿命が延びたことによって、老後が延びたために長く健康に過ごす必要性があることを説き、自分の身体を大切にしなければならないと認識させます。

『最近のパソコンやスマートフォンは大昔と比較すれば、大分人体への悪影響は減ったと思われますが、私の周りでは60歳を過ぎて白内障に罹る方が多いのも事実です。○○様のご家族やご親族の方々はいかがですか?』コンピューターばかりを利用しているのならば、このままでは危ないという事を認識させる必要があります。これが所謂”ニーズ喚起”と呼ばれるものですが、今回の目的はあくまでも適応能力を測ることなので相手を不快にしてはいけません。単純に不安にさせるだけで良いのです。

それから『○○様はどのようなペンをご利用されていらっしゃいますか?』というように先ずは面接官の現状を確認します。高額なペンが出てきても、安価なペンが出てきても言葉を変えるだけで必ず讃頌します。もし、今は手元にないと仰られたら、まさに今売ろうとしているペンを渡します。『もし宜しければ、こちらをお使いください』というように促し、『私が今日本で一番良いと思っているペンです。軽いので、夏でもシャツの胸ポケットに入れておけますし、正に季節を問わず公私ともに手放せない逸品なんです。一般的に高価とされるペンは重く、私には使いづらいのですがこのペンならば使い勝手が良いとお思いになられませんか?』

というように、③の解決策としてここで初めてペンの話をします。ペンがどうしても必要だと思わせるように追い込んでからご案内する方法もありますが、これでは売られた側が後で”売りつけられた”という気持ちになり嫌な気持ちになるものです。面接官から高評価を得るためには、”この子を紹介したい!”、”この子はわが社の顔になるかもしれない”と思わせれば良いのであって、ガチガチなセールストークなど本当は不要なのです。

寧ろそんなことをしていては気持ちがいいのは自分だけであって、採用云々の担当者からみれば敬遠したい存在になってしまいます。

その後はクロージングです。『○○様、私はこのペンが本当に良いものであると確信を持っております。○○様はいかがですか?』と質問から始まり、『実はこのペン、在庫が一本しかないため誠に僭越ながら一本だけしかご用意できません。一本だけであれば○○様へ○○円でお売りできますが、いかがですか?』と締めます。

そして、面接官が買いますと仰ってくれたら、『ありがとうございます。また新たに入荷したらご案内致します。』と伝え現実のセールストークと同様に紹介を誘う言葉を付けて完了です。

もし要らないと言われたら、焦らず、しつこくせずに『承知致しました。私のお話、つまらなかったでしょうか?』と自分を下げて問い、面接官の評価を聞き出します。

きちんと面接官とコミュニケーションを取れていればそれで良いのです。そもそも今回の売り物は恐らく面接官、もしくは面接官が所属する会社の備品であり、どうやったって売ってはいけない物ですからゲームの域を出ません。

本気を出す必要は有りませんし、死に物狂いでやってしまっては逆効果なのです。それから100円のペンに○○円の価値が無いからと言って、無理に付加価値を付けようとしないようにしてください。

これも同じく面接官からすれば逆効果で、良い印象を生むものではありません。

『このペンを私に○○円で売ってみてください』というものは先述のとおり、ただのゲームです。ですから実際のセールストークではなく魅せるトークでこそ評価を得られます。

魅せ方については少し長くなりますので、別ページでご案内致します。【営業ロープレのコツ・ゲームで評価されるロープレ

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