上司から言われた事を形で捉えない | 指示がころころ変わる上司

私が顧問先で皆様のお話を伺っておりますと、『君は物事の本質が分かっていない。と言われます。”本質”って何でしょうか?上司の言うことがなかなか理解できないばかりか、そのせいで上司の言っていることが毎回ころころ変わってしまって聞こえてしまい混乱しています。』というご相談を多くいただきます。

簡単に表現すると、先週上司から『この仕事はこうやってやれば良いんだよ。』と言われたのに、今週になって『そんなやり方では駄目だ。私はそんなこと教えていない。』というような具合です

確かにその助言を受けた側からすると、何とも矛盾した話で訳が分からないように聞こえますが、これは”話し手の説明不足”と”受け手の理解不足”が原因で発生した勘違いです。

例えば、親が自分の子供に『道路は車が走っているから危ないよ。一人で家から出てはいけないよ。』と”指導”したとします。しかし、受け手の子供側からすれば”道路は車が走っているから自分だけでは出て行ってはいけない場所なんだ”とだけ理解してしまうことになります。

話し手側の親からすれば、”君はまだ子供で周りの状況を理解する能力が低い。更に子供であるが故に身長が低く、当然、周りから認識され辛い。併せて身体能力が低いため、危機が迫ったときに回避することもできない。君は私にとってとても大切な人間だから、私がもう大丈夫と判断できるまで一人で車やバイク、自転車が行き交う道路を歩くようなことはしないでね。”といった意味で話したのに、受け手側の子供からすれば”とにかく道路は危ないから一人で出てはダメ”としてしか吸収できないということになるのです。

つまり、話し手からすれば同じ道路であっても安全が確保されている、もしくは緊急事態ならば”ダメとはならない”はずなのに、受け手からすれば”あれだけ強く言われたのだから、どんな時だって許可なく道路に出るのはダメ”というすれ違いが生まれます。

例が極端になってしまいましたが、これと同じようなことが社会人の世界でも起こり得るのです。これは別に不思議なことではなく、特に時間に限りがあるような多忙な現場ではよくあることです。

話し手は”このくらい伝えておけば受け手に伝わるだろう。あとは自分で考えて動いてくれるだろう。むしろ、そうならなければならない。”と広義で考え、受け手は言われたこと(指示されたこと)を”あの人がそう言うならば、それが全て正しいのだろう”と形で捉えてしまい、そこに勘違いが生まれます。

話し手からすれば、”自分が話したのはこういう意味だ”としても、受け手からすれば”こう言われた”となりますから受け手側からすれば、あいつはいつも言う事がころころ変わると受け取ってしまっても已むを得ないのではないでしょうか。

これらを防止する方法は、当ブログのタイトルでも記述したように上司やお客さまから言われた言葉を形で捉えるのではなく、もっと”あやふや”に捉えることから始めてください。簡単に言えば、自分が受けた言葉に対して自分で考えて、”この言葉にはどういう意味があったのか?〇〇さんはどういう意図でこの言葉を言ったのだろう?”と答えを探すようにしてください。そうやって他人の思考や発言の意図、本質を見抜く力が身に着けば、それは社内だけではなく、営業の現場でも大きな武器になり得ます。

少し失礼な表現とはなりますが、思考が停止している人間はかけられた言葉を”形”として捉える傾向にあります。感覚で言えば一般的な日本人が外国語で話しかけられたときのようなものです。かけられた言葉を文章の一部として捉えるのではなく、単語として変換し捉えてしまう。それでは、話し手が本当に伝えたいことは殆ど伝わらないはずです。

どんなときも成長できる方というものは、何か不都合があったとき、その原因は自分にもあったのではないかと考えるものです。

私がよく皆様にお伝えするのは、”言葉は伝える手段ではあるが、万能ではない”こと、”何をしようが、自分の考えを全部相手に伝えることは不可能である”ことです。そして、それを理解できていないことこそが”物事や他人の意図を理解できない根本的な理由”と言えます。

私が前述のような相談を持ち掛けられたとき、私は彼らに『自分が上司やお客さまの立場に立ったとき、ご自身だったら限られた時間で言葉を使うだけで自分の意図や本質全てを受け手に伝えることができますか?』と問いかけます。

どんな人間であろうと所詮、”人間”です。限りなく伝えるレベルを上げていくことはできますが、完璧にはなれない。できない事だって沢山あります。

となれば、当然上司だってお客さまだって、内閣総理大臣だって、日本一のあの人だって”限られた時間と言葉だけで全ての意図や本質を伝えることは不可能”なはずです。だったら、受け手側はそれを理解したうえで自分の頭で考えて肉付けを行って加工してから取り込む必要があるとは考えられないでしょうか。

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